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日本建築家協会北海道支部
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仕上げない仕上げ
今回は、材料の使い方の話です。
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建物に使われる材料は下地材と仕上材に大きく分けられます。とはいえ、これは決まりがあるわけではなく、製造メーカーがそのように区分けしてたり、私たちが経験的・常識的に区分けして思い込んでいるに過ぎないのです。私たち建築家は、こういう「一般常識」にはしばしば抵抗したがる傾向があって、農業用資材とか土木資材などと銘打ってるモノや、通常は何がしかの仕上げをするものとされてる材料をそのまま用いてみたりすることがあります。
私にも大いにその傾向がありますが、やみくもにやってるわけではありません。コストダウンになること、より丈夫になること、が基本です。また、「目の前の建て主だけは説得できても、ほとんどの人には納得されないだろうなー」などという、1回コッキリの試作には興味がありません。繰り返し使いながら洗練させていきたいので、普遍性のある理屈を明確に持ってやることにしているのです。
これは、今では皆さんご存知の「ブロック積」をそのままむき出しでインテリアにする手法です。始めた頃は「あのブロック塀のままでしょ?ぶつかったらスリ傷できませんか?」と言われました。「お金ができたらペンキ塗るなり、タイル貼るなりどうにでも。これは下地のままですから」と説得したものですが、このブロック柄のビニルクロスが作られるほど市民権を得てしまいました。
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もうひとつ、ある時期から普及し始めた2x4工法の木材を見ると、きれいにカンナ掛けされていて、そのまま使ってもトゲが刺さることはなさそうです。そのまま使うことにすれば大工さんの手間も減って少しはコストダウンにもなろうか、と考えました。ブロックのラフな質感にはこういう組み合わせも馴染んでいるでしょう。
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私がこのところ注目しているのは、北海道産の集成木材。戦後植林されたカラマツやトドマツが成長して使いごろになってきました。このカラマツやトドマツに集成材加工を施すことで、建築構造材料として流通し始めました。
集成材加工は手間がかかるので価格は高めになりますが、製造工程の必然から2x4材以上に精度が良く、きっちりと仕上がった材料として納入されます。これを隠してしまうのはすこぶるもったいない。ということで、これまでの作り方では仕上げ材で覆われてしまう柱・間柱・梁などの構造材を露出させる方法を探ってみました。
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この建物は喫茶店です。間柱を利用して施主自らが使いやすいところにカップ棚を製作。文庫本の奥行にもぴったりだから、本棚にもなります。普通ならボードを張って隠されてしまう空間を有効利用できるのがメリット。すなわち広く使えるのです。
「あれー、柱の厚み部分には断熱材が入るのでは?」と疑問がわきます。その通り、断熱材が無ければ「北海道の住宅」にはなりません。
柱の厚みの部分に断熱材を入れることを充填断熱と呼び、これが一般的ですが、近年の省エネ・高断熱化の指針では柱の厚み10センチ程度だけでは足りないので柱の外側にも断熱材を取り付けるようになりました。これを外貼り断熱あるいは外側断熱と呼んでいます。
いろいろ検討した結果、充填断熱は無しにして、外貼り断熱だけで性能を満たすことにしたのです。だから、すべての構造材を露わにできるのです。見えている壁は、厚い構造用合板でこれは耐震性能を高める重要な役目を担う必須の部材で、その外側に断熱材が取り付けてあります。屋根の作り方も同様で、天井のように見えているのは「垂木(たるき)構造」という工法で屋根を支えていて、その外側に断熱材を設けてその上にもうひとつ屋根を置いているのです。
これまでの写真は、カラマツを用いたもので、色味が濃く赤味がかっています。これをトドマツにすると白っぽい色合いになります。私はこれらを好みに合わせて使い分けています。
全体が木材一色のインテリアも良いですが、たまにはちょっと変えてみたくもなります。ここでは耐震用の壁材として、モイスという新しい材料を用いてみました。構造用合板より強度があり、色が白でなおかつ消臭性能・有害物質を分解する能力があります。少々のコストアップはお釣りがくる性能、と考え、採用してみました。
これらの木材は塗装することもなく、そのままで使っています。「これはコンクリート打ち放しにならうと、さしずめ木造打ち放しということですなー」との感想を構造設計家からいただきました。化粧仕上げ材として木材を使ってるのではなく、構造上不可欠なものだけがそのまま見えているだけだから、なかなか的を射た表現で、気に入っています。
どうも「化粧」とか「仕上げ」というのは、その後が面倒と思っています。和服を着てお化粧もして、ナポリタンを食べるのは避けたいものでしょう?ソースがはねぬよう神経使うし、後の化粧直しは必須。が、日常の生活はなかなかそうはいきません。
普段着感覚の住まいというのが性分に合っているので、仕上げという手順は省いた造りにことさらファイトを燃やしています。
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小室 雅伸
コムロ マサノブ
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| 1952年 |
生まれ |
| 1976年 |
室蘭工業大学大学院建築工学専攻修士課程 修了 |
| 1976年 |
北海道工業大学建築工学科非常勤講師 |
| 1977年 |
北海道工業大学建築工学科講師 |
| 1984年 |
同上 退職 |
| 1984年 |
北海道建築工房 取締役 |
| 1994年 |
北海道建築工房 代表取締役 現在に至る |
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| 資格・主な受賞等 |
| 1982年 |
一級建築士 登録番号159032号 |
| 2004年 |
JIA登録建築家 登録番号20400111号 |
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| 1989年 |
札幌市都市景観賞 |
| 1990年 |
北海道建築奨励賞 |
| 1997年 |
北海道赤レンガ建築奨励賞 |
| 1997年 |
彩の国さいたま景観賞奨励賞 |
| 1998年 |
川越市都市景観デザイン賞 |
| 1999年 |
木材利用推進中央協議会会長賞 |
| 2002年 |
第8回 公共建築賞優秀賞 |
| 2003年 |
第6回 環境・省エネルギー住宅賞 国土交通大臣賞 |
| 2004年 |
第11回 JIA北海道支部住宅部会が選ぶ住宅賞 ハルニレ賞(大賞) |
| 2005年 |
SB05Tokyo記念サスティナブル建築・住宅賞 住宅金融公庫総裁賞 |
| 2006年 |
第7回 JIA環境建築賞 住宅部門最優秀賞 |
| 2007年 |
2007年度 北海道建築賞審査員特別賞 |
| 2008年 |
第4回木の建築賞 NCN木骨構造賞 |
有限会社 北海道建築工房
〒006-0805 札幌市手稲区新発寒5条5丁目13-25
電話:011-686-0601 ファクス:011-686-0607
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